校内教育支援センター(校内居場所・校内適応指導教室)とは

居場所

 

本日取り上げるのは、校内教育支援センター(校内居場所・校内適応指導教室)についてです。

「センター」という名称ではありますが、実際には学校内の空き教室を活用した、不登校の子どもたちのための居場所を指します。

2025年6月時点の調査では公立学校での設置率が50%を越したことが、いくつかのニュースで取り上げられています。

▶︎教育新聞:校内教育支援センター設置率50%超す 来年度3000校に支援員配置へ

▶︎Yahoo!ニュース:「校内居場所」58%が設置 公立小中、不登校をサポート

 

他の居場所と比べてまだ正式な調査報告が少ない為、本記事では、私の支援員としての実体験や研究内容、当事者の方へのインタビューを踏まえて実態を整理できればと思います。

 

校内教育支援センター(校内居場所・校内適応指導教室)は、文科省による不登校対策「COCOLOプラン」の中でも「機能を強化する」ことが明記されており、今後さらに、不登校のお子さんや保護者のニーズに応える場としての機能を高めていくことが目指されています。
https://korokoro-nisshi.com/understanding-cocolo-plan/

校内教育支援センター(校内居場所・校内適応指導教室)とは

文部科学省によると、以下のように説明されております。

学校内の空き教室等を活用し、児童生徒のペースに合わせて相談に乗ってくれたり、学習のサポートを受ける。 学校には行けるが自分のクラスに入りづらい時や、気持ちを落ち着かせてリラックスしたい時に利用するなど、緩やかに学校復帰や在籍学級に復帰する場として活用できる。

引用:不登校児童生徒への支援について(P.3)

実態としては、本当に学校によって様々ですのでその差分もこの後整理できればと思います。

 

校内教育支援センター(校内居場所・校内適応指導教室)概要

校内教育支援センターについては、その学校、および関わる教師、支援員の方々の努力によりその様相が大きく異なっているのが現状かと思います。

空き教室を活用しているという共通点はあるものの、その実態は様々です。
具体的には、目標、担当者、活動場所、活動形式、活動内容(ほとんど全てですね..)等において、差異がありますので、以下に事例案をまとめておきます。

目標・学校復帰や在籍学級に復帰を目標としている
・個々人のペースで安心して過ごせる場の提供を目標としている
担当者・担当教員(常駐/入れ替わり制)
・校内教育支援センター専属の支援員
・スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー(適宜)
活動場所・空き教室のみ
・空き教室+図書館や技術室、体育館も使用
活動形式・自学自習の場
・時間割が設定されている(強制参加ではなく、参加は自由意志)
・オンラインで授業に参加できる
活動内容・個別活動中心
・グループ活動(ソーシャルスキルトレーニング、表現活動)
学校、クラスとの関わり・無し
・行事、イベントへの参加(現地、後部座席、オンラインなど)

校内教育支援センターを活用しつつ、出れるクラスだけクラスに戻るといった使い方をしている生徒の方もいらっしゃいます。

 

校内教育支援センターにあう生徒、あわない生徒

生徒の方々が選択できる場としてとても価値ある場だと思っているのですが、(校内教育支援センターに限らず)どの場も万能ではなく、子どもにより向き・不向きがあるため、「あっている、あっていない」両者のケースを考えたいと思います。
あっている・将来学校、クラスに復帰したいと考えている場合
・教員やクラスメイトに会いたい気持ちがある場合
・出席、内申を取りたい場合(クラスの配布物を受け取る/テストを別室で受けるなどができるなどの配慮があることもあり)
・行事に参加したい場合
・自身で自学自習ができる場合
あっていない・在籍する学校、教員、クラスメイトに対する不信感がある場合
・”学校”というもの自体に不信感、嫌悪感がある場合(”学校らしさ”自体に息苦しさを感じる場合もある為)
統計がある訳ではありませんが、私が不登校経験者の方にお話をお伺いしたり、実際に校内教育支援センターの支援員として働く中では、フリースクール等他の場所に比べて、学校/クラスに復帰する方の割合は多く感じました。
また、上記の概要に記したように、同じ校内教育支援センターでも実態は学校によって異なる為、在籍校の実態に応じて、あう、あわない、を考える必要があるかと思います。

校内教育支援センターに関する留意点

実際に生徒の方々と関わる中で、校内教育支援センターに対して「恥ずかしい」「通っていることを知られたくない」と感じる生徒も少なくないことを感じます。
その際、通常の下駄箱と別に校内教育センターの近くに特設の下駄箱を設置し、他の生徒の目に触れることなく通うことができる工夫をしてくださっている学校も多くあります。
しかし根本の解決としては、「校内教育支援センター」は恥ずかしい場所ではなく、一つの選択肢として学校、教員、生徒たち、そして本人たちに認知されることが重要なように感じます。
学校、教員、クラスメイトなどとトラブルがあったから、とか、何らかの心身の不調があったから、ひとまず別の教室で自分のペースで過ごすことは、全くいけないことではありませんし、権利として担保されて良いことではないでしょうか。

校内教育支援センター(適応指導教室) まとめ

教員不足、教師の方の多忙などが日々話題に上がる中で、50%以上の公立学校に校内教育支援センターが設置されたことは凄いことかと思います。

しかし、どうしても人材や物理的居場所、その他資金が足りない中で設置してくださっている背景がありますので、なかなか生徒一人一人に応じた最適な場所を作り上げるのも難しいのが現状かと思います。

現状では「まずは場を確保した」という段階にある学校も多い印象です。
しかし今後、より柔軟で新しい学校内の学びの場として、さまざまな実践が生まれ、それらが共有されることで、学校や公教育全体の多様性がさらに広がっていくことを願っています。

(私自身、その研究、実践を進めていきます!)