【不登校関連】不登校について最初に知ってもらいたい3つのこと

不登校・教育

このブログを作成するに至った理由の1つである「不登校」のイメージを変えたいという想いのもと、「不登校について知ってもらいたい3つのこと」をお伝えします。

この記事を通してお伝えしたいことは、「不登校」は一つの選択でしかないということです。

・不登校に関する前提知識を知りたい方
・子どもが不登校、もしくは不登校傾向で将来が不安な方
にご一読いただけたら嬉しいです。

不登校の定義とは?

まず文科省による不登校の定義については、以下となります。

「不登校児童生徒」とは 「何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により、 登校しないあるいはしたくともできない状況にあるために年間 30日以上欠席した者のうち、病気や経済的な理由による者を除いたもの」
参照:不登校の現状に関する認識

よくある誤認を考慮した際のポイントとしては、
・「不登校」の定義としては「30日間連続」ではなく「年間30日以上」の欠席が条件となる
・病気や家庭の経済状況等のやむを得ない理由による欠席は「長期欠席」として扱われる為、「不登校」とはみなされない
・「ひきこもり」は「6ヶ月以上、年齢に関わらず、社会との接点がない」状態のことを指す為、「不登校」とは別の定義となる

などが挙げられるかと思います。

不登校は問題なの?

大前提として、「子どもがどうしたいのか?」によって不登校が問題であるかどうかは変わると考えています。

「子どもが学校に凄く行きたいのだけれど、行けない」場合であれば、不登校は解決すべき”問題である”と言えるでしょう。
一方で「子どもが学校へ行きたくない」場合はどうでしょうか?

この質問に対して、以下3点から考えてみたいと思います。

❶「不登校」に関する文科省の方針とは?
❷「不登校」の子どもの将来は実際どうなっているのか?
❸「不登校」になった場合、どのような居場所の選択肢があるのか?

 

「不登校」に関する文科省の方針とは?

親御さんの世代では、世間的に「不登校=問題」という認識があったのではないでしょうか?
実際2016年まで、文科省の不登校支援の考え方は「学校復帰」が前提とされておりました。

しかし2017年の通称「教育機会確保法」により、不登校はどの生徒にも起こりうるものとして捉え、

・不登校というだけで問題行動であると受け取られないよう配慮すること
・支援は、当該児童生徒の意思を十分に尊重しつつ行うこと
学校以外の場での多様で適切な学習活動が重要であること
・個々の休養の必要性をふまえ、情報の提供と支援に必要な措置を求めること

が提唱されました。
さらに2019年には「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」により、

「不登校児童生徒への支援は、『学校に登校する』という結果のみを目標にするのではなく、進路を主体的に捉えて、社会的に自立することを目指す必要があることが強調されたのです。

 

つまり、
「不登校=問題」ではなく、
「不登校」の状態になったら、しっかり休んで、子どもの意思を尊重しながら、
学校外の学習の場も選択肢に入れつつ、子どもの自立を目指して支援を行うこと
が国の方針であるということです。
「教育機会確保法」「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」は
「不登校」のイメージを変えるという点で重要な意味がありました。
2023年には「誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策」(COCOLOプラン)が制定され、不登校児童生徒の為の環境整備の方針がさらに具体化されました。

「不登校」の子どもの将来は実際どうなっているのか?

国として「不登校=問題」とは捉えていないことを確認したうえで、
実際には「不登校」を経験した子どもたちの将来はどうなっているのか?についてデータを確認してみましょう。

文部科学省「平成18年度不登校生徒に関する追跡調査報告書の追跡調査(2014年発表)」では、
・20歳時点での就学・就業率は81.9%
就業のみ:34.5%/就学のみ:27.8%/就学かつ就業:19.6%/非就学かつ非就業:18.1%)
高校進学率は85.1%(前回調査:65.3%)
大学・短大・高専学校への進学率は22.8%(前回調査8.5%)

と、不登校を経験した子どもたちが将来社会復帰を果たしていること、
進学率については前回調査時点より大幅に改善していることがわかります。
*前回調査=平成5年度の不登校生徒への追跡調査

参照:平成18年度不登校生徒に関する追跡調査報告書の追跡調査(2014年発表)

一方で、厚生労働省『「社会的ひきこもり」に関する相談・援助状況実態調査報告』によれば、ひきこもりのうち、小中学時代に不登校を経験した人は33.5%とされています。

参照:「社会的ひきこもり」に関する相談・援助状況実態調査報告

 

不登校を経験しても、20歳時点で81.9%が社会復帰を果たしています。
一方で、ひきこもり状態にある人のうち不登校経験者が33.5%というデータもありますが、
「不登校=将来の選択肢がない」訳ではないので、「不登校」を選択したとしても、
いかに社会復帰につながるような支援をするか?を考えるべきだと言えるでしょう。

 

「不登校」になった場合、どのような居場所の選択肢があるのか?

前述したように、「不登校」でも継続して居場所、学習の場を担保できるように、現在は様々な選択肢を整備している段階にあります。お住まいの地域によって選択肢の数は大きく異なるかとは思いますが、以下代表的な選択肢を「公的機関・その他の機関」に分けて記載します。

「学びの多様化学校」「校内教育支援センター」「教育支援センター」の3つは、文科省が「誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策」(COCOLOプラン)(2023年)においてまさに強化することを提言した居場所になります。

「学びの多様化学校」(不登校特例校)

2023年9月時点で全国に24校とまだ数は多くないですが、不登校児童生徒の実態を配慮した教育課程に基づいて運営されることにより、居場所として期待されております。
具体的には、「不登校児童生徒の学習状況にあわせた少人数指導や習熟度別指導、個々の児童生徒の実態に即した支援(家庭訪問や保護者への支援等)、学校外の学習プログラムの積極的な活用など指導上の工夫」が求められています。

参照:不登校児童生徒の実態に配慮して特別に編成された教育課程に基づく教育を行う学校の概要

校内教育支援センター

空き教室を不登校児童生徒の居場所として活用することで、不登校児童生徒が落ち着いた空間で学習・生活できることを実現することを目的としています。2023年の「誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策」(COCOLOプラン)において提唱された内容で、まだ整備が進んでいないのが実態です。

教育支援センター

教育委員会及び首長部局が不登校児童生徒の居場所として学校外に設置します。
2017年時点で約63%の自治体が設置しております。
教員免許を保持した指導員が多く、個別の学習支援・スポーツ・芸術活動・調理体験・自然体験などのプログラムを用意しております。(教育支援センターによって差はあります)
子ども、保護者共に対するカウンセリングも約9割の教育支援センターで行われています。

参照:「教育支援センター(適応指導教室)に関する実態調査」結果

他校(転校)

文科省による「誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策」(COCOLOプラン)においては、不登校児童の状態にあわせて柔軟に学級や転校等を行うことも明記されております。

 

その他の機関

通信制高校、フリースクールについては近年増加しております。
公立の通信制高校は微増に対して、私立の通信制高校は2000年から2015年にかけて4倍に上り、2020年には全国で179校にのぼります。

学校によっては小学生・中学生も対象にしている為、不登校時の選択肢として検討できます。

参考:高等学校通信教育の現状について

 

現在通っている学校以外にも沢山の選択肢が存在します。
それぞれの居場所にはそれぞれの特徴がある為、不登校の子どもの性格やニーズにあった居場所を探すことができれば、「学校に行かない選択肢=不登校」は子どもにとって価値のある選択になり得ます。

まとめ

・文科省の方針としても「不登校」を問題として捉えるのではなく子どもの意思を尊重しながら、
学校外の学習の場も選択肢に入れつつ、子どもの自立を目指して支援を行うことを提唱していること

不登校を経験した子供達が将来就学、就職していること

現在通っている学校以外にも、沢山の居場所・学習の場所の選択肢が存在していること

を文科省の提言やデータを参照して述べてきました。

「不登校」はあくまで、「現在通っている学校に行かない」という選択でしかなく、
大事なことは「学校復帰」ではなく、子どもの状態・性格・ニーズを考慮して「社会的自立」を目指す支援を行うことなのではないでしょうか。