【不登校関連】教育支援センター(適応指導教室)について

不登校・教育

 

本日取り上げるのは、「教育支援センター(適応指導教室)についてです。

市町村や都道府県の教育委員会等によって運営される、不登校時の学びの場の1つです。

 

先にお伝えすると、公的なサービスとなりますので費用は無料です!

本記事では、文部科学省の「教育支援センター(適応指導教室) に関する実態調査」を参考に、
定義や設置数、目標、具体的な活動内容、そしてフリースクールとの違いについて確認していきたいと思います。

教育支援センター(適応指導教室)は、文科省による不登校対策「COCOLOプラン」の中でも「機能を強化する」ことが明記されており、今後更に不登校のお子さんや保護者の方のニーズを満たす場になることが目指されおります。
https://korokoro-nisshi.com/understanding-cocolo-plan/?preview_id=119&preview_nonce=4991600038&_thumbnail_id=194&preview=true

教育支援センター(適応指導教室)とは

まず、「教育支援センター」と「適応指導教室」は名称は異なりますが、同じものを指します。
(「従来使用していた適応指導学級の呼称について、不登校児童生徒や保護者にとって抵抗感を減らし親しみやすいものにするため(文部科学省)」に「教育支援センター」へ名称が変更されました。)

市町村や都道府県の教育委員会等によって運営される、
主に小・中学校の不登校児童生徒を対象に、
教科の学習や集団生活を学ぶ場です。

簡単に言うと、「不登校児童生徒の公的な居場所」の1つです。

「教育支援センター」という名前のイメージから、大きな建物等をイメージする方もいらっしゃるかと思いますが、学校やその他の場所の一部の部屋で運営されているケースも多いです。

 

参考までに、文部科学省による定義は以下となります。

教育支援センター(適応指導教室)とは、不登校児童生徒等に対する指導を行うために教育委員会及び首長部局が、教育センター等学校以外の場所や学校の余裕教室等において、学校生活への復帰を支援するため、児童生徒の在籍校と連携をとりつつ、個別カウンセリング、集団での指導、教科指導等を組織的、計画的に行う組織として設置したものをいう。なお、教育相談室のように単に相談を行うだけの施設は含まない。

引用:文部科学省「教育支援センター(適応指導教室)に関する実態調査について」

「学校生活への復帰を支援するため」の文言が入っておりますが…
現在不登校の支援は国としても「学校復帰を目的とせず」ということが明確にされておりますので、今後の文書では消されるのではないかなと個人的には思っております。

 

教育支援センター(適応指導教室)概要

概要を以下に抜粋します。

設置数

令和元年(平成29年に調査実施)のデータになりますが、
全国に1142カ所、62%の自治体が教育支援センターを設置しております。

対象となる児童

自治体によって異なるのですが、基本的には以下の子供が対象となります。
・設置者が所管する地域に住所のある子供
・設置者が所管する地域にある公立学校、国立学校、私立学校に通う子供

在籍者数と出席扱いの有無

気になるのが、
・在籍する児童生徒(小学生、中学生、高校生)
・この教育支援センター(適応指導教室)に通うことで「出席扱い」になるかどうか
かと思います。
その点については、以下の結果となっております。
※元データを加工しております。元データは文部科学省のPDFからご覧ください。

・在籍児童生徒は中学生、次いで小学生が多く、高校生は少ない
・中学生、小学生ともに出席扱いの措置をとっている割合は高い
・一方通学的乗車制度適用人数は極めて少ない

教育支援センター(適応指導教室)に在籍する児童のほとんどが、元の在籍校で
「出席扱い」になっているという事実は安心につながるかと思います。
一方で、進学を考えた際「定期テスト」を受けない限りは、基本的に内申点は「1」となりますので注意が必要です。
ただ、現在は内申点を重視しない「通信制高校」も多くありますので、幅広い選択肢を考慮することが大切かと思います。

 

教育支援センター(適応指導教室) 目標

目標については、以下となっております。
・重要と考えているものについて、主なものを三つ選択 (n=1295)
・以下は割合

・援助目標として約69%が「学校復帰」を重要と考えている
・次いで、40%〜50%強の施設が「居場所の提供」「社会的自立」を重要と考えている

平成27年度(2015年)には約78.5%が「学校復帰」を目標と考えていた為、

平成29年度(2017年)の約69%は減少していることがわかりますが、
依然として「学校復帰」を重視している施設が多いことがわかります。

児童生徒自身が「学校に戻りたい」と考えている場合には問題ないかと思いますが、もし児童生徒の意向に反して「学校復帰」を目標とした働きかけをしているのであれば、以下文部科学省の通知を改めて考える必要があるかもしれません。

不登校児童生徒への支援は,「学校に登校する」という結果のみを目標にするのではなく,児童生徒が自らの進路を主体的に捉えて,社会的に自立することを目指す必要があること。
引用:「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」令和元年10月25日

 

教育支援センター(適応指導教室) 活動内容

次に、実際に教育支援センター(適応指導教室)ではどのような活動がされているか?
については、以下となっております。
・重要と考えているものについて、主なものを三つ選択 (n=1295)
・以下は割合

・ほとんどの施設が、個別の学習支援を実施
・相談・カウンセリング(子供、保護者)は約90%実施
・授業形式(講義形式)による学習支援は30%未満

約90%が児童生徒、保護者に相談、カウンセリングを実施されているのは一つの特徴かと思います。また、令和5年の「不登校の児童生徒等への支援の充実について(通知)」においては、教育支援センターのICT環境の整備(2億円)が継続事業として明治され、「不登校児童生徒を在籍校とつなぎ、オンラインによる指導やテスト等を受けられ、成績反映を可能にするため、教育支援センターのICT環境を整備すること。」が記載されております。

 

 

教育支援センター(適応指導教室) フリースクールとの違い

不登校児童生徒の居場所の選択肢として挙がる「フリースクール」との違いについて、以下の表で整理します。

教育支援センター(適応指導教室)フリースクール
運営市町村や都道府県の教育委員会等民間団体
費用
(入会費等除く)
無料スクールによって異なるが、
平均額は約33,000円/月(年間換算すると396,000円)
卒業/出席認定在籍校の校長判断在籍校の校長判断
特徴児童生徒の教科の学習や集団生活の
場を担保することに加え、
児童生徒・保護者への
相談・カウンセリングも実施
個別の学習に加え、社会体験、自然体験、調理体験、芸術活動、スポーツ体験等の体験活動に重点が置かれていることが多い
(運営団体により、方針は大きく異なります)

 

フリースクールの実態については、文部科学省による以下の調査が参考になります。
文部科学省「小・中学校に通っていない義務教育段階の子供が通う 民間の団体・施設に関する調査」

教育支援センター(適応指導教室) まとめ

不登校のお子様をサポートする際、金銭面でのご負担が大きくなると言われておりますが、
今回ご紹介いたしました、教育支援センター(適応指導教室)は無料で使用することができる為、
選択肢の1つとしてご検討いただくことは良いかと思います。

ただ、フリースクールまでは施設差は大きくないにしても、
教育支援センターによっても運営方針や雰囲気などは大きく違うかと思いますので、
実際に通われる際には、事前に相談や見学をしていただくことをおすすめいたします。

 

また、教育支援センター(適応指導教室) の他にも不登校児童生徒の居場所として現在注目されているのが、学びの多様化学校(不登校特例校)になります。学びの多様化学校(不登校特例校)については以下記事でまとめておりますのでご覧ください。