【教育・不登校ニュース】千葉県教育委員会 初の「不登校児童生徒等実態調査」を実施

教育・不登校ニュース
不登校・教育に関連するニュースを取り上げていきます。

 

2024年6月14日、千葉県教育委員会が2023年度に実施した
「不登校児童生徒等実態調査」の結果を発表しました。

本ブログでは今まで実施された「不登校実態調査」の結果と比較し、私が気になった点を抜粋・比較した要約・解釈を記載しますので、調査結果全容に興味がある方は、上記HPを直接ご覧ください。

私の解釈・意見についてはこちらの吹き出しを使用します!

 

千葉県教育委員会「不登校児童生徒等実態調査」 概要

2023年度に文部科学省の委託を受け、
公益社団法人「子どもの発達科学研究所」が以下の目的のもと調査を実施しました。

不登校児童生徒等実態調査の目的

不登校児童生徒等実態調査は、以下を目的に実施されました。

不登校児童生徒の教育機会の確保に関する施策を総合的に推進するため、支援を必要とする子供たちやその保護者のニーズや、フリースクール等の民間団体の活動状況及び諸課題を把握し,今後の施策の推進に役立てること
引用:千葉県教育委員会

 

不登校児童生徒等実態調査の対象/方法

以下HPより引用します。

【対象】
県内小中学校の不登校児童生徒(※)及びその保護者、県内フリースクール等
※令和4年度(小学校1年生・中学校1年生の場合は令和5年度)に、30日以上学校を欠席した児童生徒

【調査期間】
令和5年12月13日(水曜日)から令和6年1月22日(月曜日)
※調査は、三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社に委託

【質問項目】

  • 不登校児童生徒
    学校を休み始めた時期/学校に行きたくないと思ったきっかけ/自分の気持ちを相談できたか/学校を休んでいる間の暮らし/学校を休んでいるときの気持ち/学校を休んでいる間の支援/支援や環境に対するニーズ
  • 保護者
    子供の不登校の状況/子供との関わり方/相談・支援の状況/ICT環境・活用状況/必要な相談・支援等
  • フリースクール
    団体・施設の概要/その体制及び活動内容/家庭や関係機関との連携

抜粋したい箇所多いのですが、本ブログでは青字項目に絞ってご紹介します。

 

「不登校児童生徒等実態調査」 結果要約

全体の結果は千葉県教育委員会のPDFからご覧いただければと思います。
本ブログでは以下二点の調査との比較しながら要約・解釈を行います。
1) 文部科学省の「問題行動・不登校調査」
2) 2023年度に文部科学省の委託を受けた「子どもの発達科学研究所」が実施した「不登校の実態調査」

2) については以下記事でまとめていますので、比較される際はこちらをご覧ください。

 

不登校児童生徒:学校に「行きたくない」と思ったきっかけ

参考:令和4年度「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」

・「先生のことで気になることがあった(先生が好きではなかった、怖かった)」27.9%と最多
・「勉強が分からない、授業についていけなかった」24.9%
・「友達のことで気になることがあった(嫌がらせやいじめがあった)」
22.2%

教師に関する項目を比較すると、
2) 「不登校の実態調査」:教職員への反抗・反発(35.9%)
の為従来の調査と同様に、不登校のきっかけに「先生」が関連しているケースが相当数存在するということを、支持する結果となりました。

上記要因については
※1) 文部科学省の「問題行動・不登校調査」では、教職員への反抗・反発(3.5%)と、2) 「不登校の実態調査」での調査との乖離が明らかになり、調査の見直しが発表されました。

上記については、以下の記事でまとめておりますので気になる方はご覧ください。
https://korokoro-nisshi.com/revising-school-refusal-survey-mext/

 

不登校児童生徒:どんな場所に行きたいか

こちらは他の調査ではなかった項目です。

文部科学省の「誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策」としての「COCOLOプラン」においても、「一人一人のニーズにあった学びの場の確保」が謳われている、かつ個人的にもこの項目は重要であると思うので、以下抜粋します。

参考:令和4年度「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」

・「何時に行ってもいい(遅刻、早退をしてもいい場所)」 60.6%と最多
・「ゆっくり休めるスペース・場所がある」57.4%
・「自分の好きなペースで勉強ができる」
50.6%
・「一人きりになれるスペース・場所がある」が50.0%

上記の結果について、どんな感想を持たれましたでしょうか?

 

居場所については「どんなことができるか?」という内容面ついてフォーカスされることが多いように思うのですが、ここでは「何時に行ってもいい」「自分の好きなペースで勉強」という制度面や、「ゆっくり休める、一人きりになれるスペース・場所がある」という物理面が求められていることがわかります。

不登校の子どもたちの場所の整備を考える際、上記の「子どもがどんな場所を求めているのか?」というニーズを理解し、反映することはとても重要なことではないでしょうか。

例えば、教育支援センターに関する実態調査についても、上記の制度面、物理面については調査がされておりません。各種居場所が子どものニーズを満たす場所になっているか?を上記の観点からも考えていきたいなと個人的には思いました!

 

保護者:今後必要だと思う支援

2) 「不登校の実態調査」のなかでは、保護者の方の「学校の対応について」の項目はありましたが、支援全般を対象としたものはなかった為、以下抜粋しました。

正式な質問内容は「不登校児童生徒への支援において、今後どのような取り組みが必要だと思うか」になります。

参考:令和4年度「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」

・「市町村立の学びの多様化学校(不登校特例校)の設置」69.5%と最多
・「県立の学びの多様化学校(不登校特例校)の設置」45.4%
・「現在の相談 機関の周知」43.0%

 

相談場所よりも居場所/学びの場の設置、居場所/学びの場のなかでも「学びの多様化学校(不登校特例校)」への期待が大きい結果となりました。
文部科学省の不登校支援対策「COCOLOプラン」の中でも、「学びの多様化学校(不登校特例校)」の設置の促進が掲げられている為、保護者の方々の要望と文部科学省の方針が一致しているということになります。

学びの多様化学校(不登校特例校)」については以下記事でまとめておりますので、詳細は以下からご覧ください。

 

 

千葉県教育委員会「不登校児童生徒等実態調査」まとめ

児童生徒・保護者のニーズを中心に抜粋させていただきました。

児童生徒は、「何時に行ってもいい」「自分の好きなペースで勉強」、「ゆっくり休める、一人きりになれるスペース・場所がある」等、制度面・物理面において柔軟性のある場所を求めている
保護者の方の約7割が学びの多様化学校(不登校特例校)の設置を求めている
上記二点をふまえると、
学びの多様化学校(不登校特例校)の設置促進という方向性は保護者の方のニーズと合致している
設置においては、不登校の児童生徒が通いやすくなるよう、制度面・物理面での柔軟性も考慮する必要があるだろう

 

ここまで教育委員会による実態調査をご紹介させていただきました。

従来の文部科学省の調査等では明らかになっていなかった内容が盛り込まれており、大変勉強になりました。

以下、他調査もまとめておりますので、ご興味ある方は以下ご覧ください。