【不登校関連】メタバース活用による不登校支援

不登校・教育

 

全国的な不登校児童数の増加に伴い、

近年不登校児童の支援策の一つとして「メタバース」の活用が注目されております。

実際どうなの?という点を明らかにするべく、以下をまとめました。

 

・メターバースによる不登校支援とは、どのようなものか?
・メタバース空間に通う子どもたちの感想は?

・全国的にどのような支援がされているのか?
といった点を中心に深ぼっていければと思います。

不登校支援策の一つとしてのメタバース活用とは

まず、メタバースとは?についてですが、「義務教育におけるWeb会議システム、メタバースを活用した不登校児童生徒支援の現在地」(2023,松本)の論文によると、

以下のような定義が存在しているようです。

メタバース (英: metaverse)
・・・ meta(超越)universe(宇宙、世界)を組み合わせた造語

リアルタイムに大規模多数の人が参加してコミュニケーションと経済活動ができるオンラインの三次元仮想空間

wikiさんによると、「コンピュータの中に構築された3次元の仮想空間やそのサービス」を指すようです!

さて、ここから3次元の仮想空間=メタバースが、どのように不登校支援に取り入れられているのか?
の事例紹介に移ってまいります。

メタバース活用による不登校支援事例

記事後半の全国の事例で紹介するように、一時的にメタバースを活用している自治体もありますが、
ここでは継続して活用されている2つの事例を紹介いたします。

埼玉県(戸田市)の不登校支援 メタバース活用事例

オンライン上の仮想教育支援センターを開設。具体的にできることは以下です。

  • アバターを使って仮想校舎に登校し、校舎内を移動
  • 教室に入室すると、オンライン会議システムが立ち上がり、体験型学習などのプログラムを受講

引用:NHK「不登校の子どもたち 新たな居場所は“メタバース”」

 

上記に加え、以下のような細やかな支援も行なっていることが特徴です。

  • 保護者のヒアリングや子どもの状況等を総合的に踏まえて、個別の支援計画の作成、メンターの伴走、教育委員会や学校へ状況共有を実施
  • 学びたいという意欲を持つ子どもに向けてAIドリルを活用したプログラムを用意
  • その他、各自が自分の学びたい教材を持ち寄り、わからない部分はスタッフに質問するというようなプログラムも存在

認定NPO法人カタリバによる「room-K」は、2023年4月の段階で8の自治体、
1つの中学校と連携しております。

 

 

埼玉県(さいたま市)の不登校支援 メタバース活用事例

富士ソフトが提供する「FAMcampus」と、NTTスマートコネクトが提供する「3D教育メタバース」を活用し、メタバース上での不登校等児童生徒支援センター(Growth)を開設。具体的な活用方法は以下です。

  • (授業やホームルームはTeams上で実施)
  • 休み時間のおしゃべりや、廊下で声をかけるようなコミュニケーションを補完する為にメタバース空間を活用
  • 子供たちの発案により、毎週木曜日にメタバース上で会話しつつ自宅で昼食を食べる「昼食会」を実施
  • 終業式などのイベント時でもメタバースを活用

引用:PC-Webzine「不登校の子供たちへの居場所を作る“メタバース学校”」

 

さいたま市では、メタバース上での学びのみならず、プラネタリウム見学芋掘り体験といった体験活動やオフ会等のリアルなイベントも並行して開催しているようです。

 

 

東京都(新宿区)の不登校支援 メタバース活用事例

子供たちの居場所・学びの場として、仮想空間上にメタバース「バーチャル・ラーニング・プラットフォーム」を開設。具体的にできることは以下です。

  • アバターを使って仮想校舎に登校し、校舎内を移動
  • 教室に入室すると、オンライン会議システムが立ち上がり、体験型学習などのプログラムを受講

引用:DNP「大日本印刷とレノボ・ジャパン 不登校や日本語の指導が必要な児童・生徒に3Dメタバースで居場所と学びの場を提供」

 

2022年12月にデモ運用を開始し、成果を踏まえ、2023年9月に拡大を発表しました。
拡大の内容としては、以下が挙げられております。

  • 仮想空間を2Dから3Dに変更
  • 仮想空間上で活動する子供たちの分身としてのアバターの種類を充実
  • AIドリル、日本語学習ツールなどの学習コンテンツを提供、オンラインイベントなどの実施

 

 

 

メタバース登校 子どもの声

▼room-Kを使用した子どもの感想

「オンラインなので、密集しているという感覚がなくて。気軽におしゃべりできたり、気軽にきけたり。そういうのが、私の思う学校とメタバースの違い」

(「メタバースで知り合った友達に、実際に会ってみたいと思いますか?それとも、オンラインのままのほうがいいですか?」という質問に対して)

「仲良くなって、実際に会って、いろんな遊びをしたり、たとえばオンラインではできない鬼ごっことか、オンラインではできないいろんなことをして遊びたいなと思います

引用:NHK「不登校の子どもたち 新たな居場所は“メタバース”」

 

▼さいたま市人のGrowthを使用した女子生徒の感想

人が多い場所が怖くて外出が苦手だったという。失敗しても温かい声をかけてくれる先生や仲間とオンライン画面上で触れ合う中で、心境に変化があった。「人への信頼感が高くなったし、こういう場所にも参加できるようになった。自分の積極性もちょっとずつ上がってきています」

引用:Infoseek「先生が心を揺さぶられた、 不登校の子どもたちによる『お互いへの思いやり』 新形態の公教育『メタバース学校」は、優しさであふれていた』

 

メタバース上でコミュニケーションが完結するのではなく、ハードルが低い(と感じる子どももいる)メタバース上での関わりを通して、リアルでの関わりに繋がっていくこともあるようですね!

 

全国のメタバース活用による不登校支援一覧

不登校児童生徒の支援に向けて、メターバース活用に取り組むの自治体を一覧でまとめました。
(活用中、活用予定含む)

 

都道府県内容開始時期
埼玉県(戸田市)
教育関係の認定NPO法人
カタリバの「room-K」を活用
オンライン上の仮想教育支援センターを設置2022年7月〜
埼玉県(さいたま市)メタバースを活用した不登校等児童生徒支援センター(Growth)を開設2023年7月〜
東京都(新宿区)子供たちの居場所・学びの場として、
仮想空間上にメタバース「バーチャル・ラーニング・プラットフォーム」を開設
2022年デモ運用開始
2023年拡大
愛知県(名古屋市)仮想空間上でキャラクター「アバター」を操作し、学習や相談のほか子供同士の交流を図る2024年度から開始予定
愛知県(春日井市)
教育関係の認定NPO法人
カタリバの「room-K」を活用
子供たちの居場所・学びの場として、
メタバースを活用
2023年6月下旬〜
岐阜県(岐阜市)不登校の児童生徒を対象にインターネット上の仮想空間「メタバース」を活用したオンラインフリースペースを定期開催し、参加すると出席扱いになる取り組みを開始予定2024年度から開始予定
京都府メタバース不登校学生居場所支援プログラム「ぶいきゃん京都」を1ヶ月間にわたり実施2023年9月25日~10月22日(計15回、各回1時間)
大阪府(八尾市)不登校の児童生徒を対象にしたインターネットの仮想空間を活用した居場所づくり「メタバースde居場所」を開始2023年8月下旬〜
広島県不登校の高校生と中学生を対象に、VRゴーグル、VRChatを用いた「メタバース不登校学生居場所支援プログラム」を実施2022年9月26日〜10月8日(計8日間)
愛媛県メタバース上での不登校児童生徒の「つながり」、「学習の機会を保障する」場として「メタサポキャンパス」を開設2023年7月〜
熊本県(熊本市)メタバースの要素を取り入れた 「バーチャル教室」を開設2023年1月〜

 

 

メタバース活用による不登校支援 まとめ

この数年で活用が始まったメタバースですので、子どもたちの感想はまだ少ないですが、
学びの場の選択肢の1つになりつつあることが伺えます。

実際私もオンラインのフリースクールにてメタバースを利用しているのですが、
アバターを使って動いたり、話しかけたりすることで、オンラインでのつながりであっても「共に同じ空間に存在している」ように実感できることは居場所機能の1つとして重要なことのように感じます。

 

メタバースのみで学びや人とのつながりが担保されるのか?については、まだ私自身わからない部分ではありますが、子どもの感想でも述べられていたように、学びやコミュニケーションのはじめの一歩を踏み出すツールとしては間違いなく活用できるものではないでしょうか。

今後も活用事例等はキャッチアップしていければと思っております!