【映画評】夜明けのすべて – 変化はささいに、ゆっくりと

映画評

友人から「後からじんわりと来る映画」とおすすめされ、

瀬尾まいこさん原作、三宅唱さん監督の「夜明けのすべて」を見てきました。

PMS(月経前症候群)の女性とパニック障害の男性がゆるやかに関わり、
少しずつ変化していくお話です。

 

すっごく好きな雰囲気の映画でしたので、以下感想を徒然なるままに書き記します。

映画『夜明けのすべて』公式サイト
松村北斗と上白石萌音のW主演『夜明けのすべて』2024年2月9日(金)ロードショー

 

(※ネタバレありです)

 

あらすじはAIにお任せして、感想だけ書きます!笑

・生きづらさを抱えている方、生きづらさを抱えた方が周りにいらっしゃる方
・最近日常に追われてなんとなく辛かったり、苦しい気がしなくもない方

・語りすぎない映画が好きな方
・ヒーリング映画が好きな方
そんな皆様にお勧めしたい映画です。

 

夜明けのすべて 感想

なんとも言えませんが、すごく好きだったんですよねー…

ということで、何が好きだったのか?を一つ一つ改めて考えてみたいと思います。

 

・ドラマチックな展開はない、でも感じるものがある
・繰り返し流れるシンプルなメロディ
・プラネタリウムの世界観

 

ドラマチックな展開はない、でも感じるものがある

個人的に一番好きなポイントがこちらな気がします。

私たちの人生において、あっと驚くような、感動するような、
そんな展開は一生の中でも数えられる程しかないように思います。

 

それよりも私は、日常にある

「なんだか温かい気持ちになる」「なんだかほっとする」「なんだか幸せな気持ちになる」ような

そんなふんわりした瞬間や気持ちを大切にしたいと思っています。

 

そんな私にとっては、その瞬間や気持ちがたくさん詰まったこの映画がとても好きでした。

映画の中のシーンでいうと、

・久しぶりに自転車に乗ってみたらちょっと気持ち良いって感じたり
・他人の為に差し入れを買ってみたい気分になったり
・カセットテープから聞こえる声から、人柄を感じられたり
・気にかけている誰かが、少し幸せそうに見えたり

そんなシーンが繊細に、さりげなく描かれていました。

 

 

繰り返し流れるシンプルなメロディ

劇中で使用されているメロディはすごく少なく、

繰り返しそのシンプルなメロディがところどころ流れてきます。

そのメロディの繰り返しが、

前述した、日常のなかのふんわりとした瞬間や気持ち、を表しているようにも感じて好きでした。

 

プラネタリウムの世界観

宇宙、星、プラネタリウムってなんだかロマンがあって素敵ですよね。

その魅力もふんだんに詰まった映画です。

壮大な世界と自分との対比や、
何年もの月日を超えて、社長の弟さんと星を通して繋がる感じが、特にとても好きでした。

 

夜明けのすべて 臨床心理学の観点から

 

臨床心理学の観点から、とか表題つけてますが、

ぜんぜん専門的な話じゃないことをあえて書きたいと思います。

それでもとても大事そうなこと。

 

この映画を見て、
人との関わり方を考えさせられました。

・人が抱える苦しみは、分かりきることなどあり得ないことを忘れないこと
・それでも理解しよう、少しでも助けになろう、とする努力は無駄ではないこと
・変わること、変えることを強要しようとしないこと
・自分を作ろうとしないこと、自然体でいること

 

そして、そうやって関わることで

 

日常の中のほんの少しのきっかけで、

ささいな変化が起きるかもしれない。

そしてその変化がゆるやかにつながって、

日常が、気分が、ほんの少し変わるかもしれない

 

でも、変わらないかもしれない。
変わることは期待しない。変えることなど、おこがましいから。

 

 

 

実は今、こちらのブログを書きながら、以下の文章を書いて、以下のように書き直しました。

この映画を見て、
生きづらさを抱える方々(診断名がついている方も、ついていない方も、程度の差も関係なく)
との関わり方を考えさせられました。

この映画を見て、
人との関わり方を考えさせられました。

 

「病気によってレベルがあるんだね、PMSはまだまだだね」という映画内のセリフでもあるように、
診断名がつくほどの苦しみを抱えられている方の辛さは、診断名がついてない方とは比べ物にならない、と感じる方もいらっしゃるかもしれません。でもそうではないかもしれません。

というのも、

その方の辛さや苦しさは、その人にしか分かり得ず、決して人と比較することはできないからです。

だからこそ、病気や診断名、状況など、客観的な何かで線引きをするべきではないと思うのです。

 

 

夜明けのすべて まとめ

病気を患った方々の描写がすごくリアルに感じたので調べてみたところ、

作者の瀬尾まいこさんご自身も「パニック障害」で苦しまれたご経験があったようです。

だからこその繊細な描写と温かな目線だったのだろうなと少し納得しました。

 

実は「読もう読もう」と思いながら、まだ瀬尾まいこさんの作品を読めていなかったのですが、

この映画を拝見して、私は瀬尾さんが描く世界が好きかもしれない!という直感を得たので、

今後は瀬尾さんの作品を小説も、映画も触れてみたいなと思います。

 

ちなみに「夜明けのすべて」については、小説と映画では大幅に内容が違うようです!

 

「完成した映画を見せてもらって、原作と大分内容を変えている部分があるにも関わらず、原作の世界そのままだなと感じました。いつも自分が書いた小説が映画になったものを見ると、自分の書いた話よりももっと素敵に、ドラマチックになったものを見ている気がするのですが、今回の映画は私が書いた、自分が本当によく知っている世界を見た気がしました。」

参考:https://book.asahi.com/article/15123725

 

こちらの映画の小説も気になった方はこちら!

というか私も小説も読もうかなと思います…!

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