人に何かを教える役割を多く担わせていただいてきた。
そこでは「いかに、わかりやすくするか」を日々考えてきた。
難しい概念・事柄を、構造化したり、ビジュアル化したり、具体例や他事象におきかえた例を挙げたりして。
しかし最近思うことは、
わかりやすく伝えようと思えば思うほど、何かが抜け落ちていく。
シンプルに整理しようとするけれど、大抵のものはそんなシンプルでも整理もされていない。
というか
シンプルにしよう、整理しようとしたら、あるものの一側面を切り取ったものになる。
特に「臨床心理」を学ぶなかで感じることが多い。
「心」という見えない何かを扱うとき、「空間」「空気感」「関係性」などなど
なんとも言葉では形容し難いことが多い。
そんなもやもやとした実態のないものに対して、様々な角度から捉えようと模索するプロセスこそが「わかること」に近づく唯一の方法であるように感じる。
とした時に、
「わかること」と「わかりやすくすること」は相反することであるようにも思える。