今夏、シュノーケリングをした。
前日に台風が通り過ぎた影響と、砂地を通って海に向かった人々によって巻き上がった砂により、
到着した日の夕方の海の透明度は低かった。
しかし翌日の早朝、一番乗りを目指して海に入ると、
3m先も見通せるような透き通った海が広がっていた。
様々な種類、大きさ、年齢の魚たちが、思い思いに生活を満喫している。
“咲き乱れている”と表現したくなるような、小さな魚たちに取り囲まれたと思えば、
次の瞬間、大きな魚たちが群れをなして目の前を通り過ぎていく。
岩場を注視すると、一匹の魚が住処から顔を出していたが、近づいた瞬間引っ込めた。
足に違和を感じて振り返ると、黒い5cm程の魚が”邪魔だ”と言わんばかりに私をつっついている。
同じ海に三度入ったけれど、一度として同じ経験はない。
透き通った海の中、目の前にパステルカラーの珊瑚の花畑が広がり、
キラキラと海に差し込む日差しを受けて表情を変える、プリズムのような魚たちに取り囲まれた瞬間、
感じたことのないような幸福感に包まれた。
この瞬間をいつでも思い出せるよう、記録に残したいと思ったが、手元にカメラはない。
ならば、どうにかして言葉にしようと思った。
私の限られた語彙では、ほんの一部でも満足いく描写はできないが、
あの瞬間の破片をどうにかして拾い集め、並べておく。
人生を楽しむ一つの重要なパーツとして、シュノーケリングを取り入れようと思った今夏。