【映画評】ハケンアニメ! - 人と共に創ること

映画評

 

すみませんなんかもう心理関係ないんですけど、映画が好きなのでただご紹介です笑

こちらはアニメ・映画制作に携わる友人から「間違いなく楽しめる映画!」とおすすめされ、

遅ればせながらハケンアニメ!を見ました。\ Netflixで配信中です /

(※ネタバレありです)

私は映画を見る際に「ズーン」としたい時と「パー!」としたい時があるのですが(笑)、その後者の気分で見たかった今にぴったりの映画でした!

 

・アニメ業界に興味がある方
・アニメが好きな方
・人と共に働くことに勇気をもらいたい方
・ワクワク系の映画が見たい気分の方
そんな皆様にお勧めしたい映画です。

『ハケンアニメ!』は、辻村深月の同名小説を原作とした人間ドラマです。
アニメ業界における最も成功したアニメの称号である「覇権(ハケン)」をめぐって、
新人アニメ監督と過去にヒットを飛ばしたスター監督が火花を散らす姿を描いています。

主演は新人アニメ監督を務めた吉岡里帆さん、
対するスター監督は中村倫也さんが演じました。

 

ハケンアニメ! 感想

 

アニメ制作に対して心からのリスペクトのある方々が作られたんだろうなあと感じる作品でした。

私は映画については、制作された方々の「訴えたいこと」や「何かに対する強い想い」がひしひしと伝わってくる作品が好きなので、とても好きな作品でした!

(この映画を見て改めて感じたことではありますが、とんでもなく多くの方々の時間と労力と気持ちを使って制作されているので、どの映画にも上記は含まれているという前提のもとですが、”私がより強く感じた”作品という意味合いです)

 

ハケンアニメ! 制作の舞台裏

ということで少し調べてみたのですが、

原作者の辻村深月さんは、

  • 小説を執筆する際は現場の取材をするのですが、
    「取材して楽しいところがいいな」&「もともとアニメが好きだった」ということからアニメ業界に決めた

監督の吉野耕平さんは、

  • アニメ業界にもともと興味があった
  • オファーされる前から、小説『ハケンアニメ!』の映画化を目論んでいた

 

お二人ともアニメ業界への興味が強かったことに加え、昨今原作を軽視した映像作品化について議論がなされるなか、本作品は原作者と監督が密にコミュニケーションをとり、共に作品を創られたことが以下のインタビューからも伝わってきました。

 

  • 監督の吉野耕平さん原作者の辻村深月さんが取材をしてきた人たちやスタジオに再度、改めて取材をされていた
  • 吉野監督から辻村さんに依頼をし、映画内に出てくるアニメ作品のプロット(全12話分×2作のプロット)は全部丸々辻村さんが作成された

参考:LEE「アニメの<覇権>を巡る熱き奮闘!『ハケンアニメ!』の舞台裏を語り尽くす!【吉野耕平監督×と原作者・辻村深月さん】

 

補足情報ですが、実は原作者の辻村深月さんは直木三十五賞候補にも選ばれた小説
『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』のドラマ化をめぐり、NHKが講談社を訴え裁判にまで発展した過去があります。・NHKがドラマ化を企画したが、辻村さんと講談社が許容できる脚本を提示してこなかった為、講談社からNHKへドラマ制作をいったん白紙に戻すよう提案
・NHKは、ドラマ制作の中止を余儀なくされたとして、講談社に対して約6000万円の損害賠償を請求
・東京地方裁判所は、NHKの訴えを棄却する判決を下した一連のやりとりから、講談社は「原作者の意志を尊重せずに作品を一方的に改変した
ドラマが制作されることはあってはならない」と主張しております。

参考:『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』に関するNHKとの裁判の判決に対する講談社の見解

 

上記のような一件があった為、想像するに辻村さんは小説の映画化にも慎重だったのでは・・・?と思いますが、その不安を払拭するようなチームワークだったのではないでしょうか。

本作品で吉野監督は、「日本アカデミー賞 優秀作品賞 優秀監督賞 (含む10部門)」を受賞されております!すごい・・・!

 

 

ハケンアニメ! 魅力①人と共に創ることのリアル

働くことの難しさや困難さ、意義にやり甲斐、などが、

アニメ業界ならではの楽しいワクワクするビジュアルと演出とともに

わかりやすく伝わってきて

「人と共に何かを創ることってすごいな、良いな」って純粋に思うことができました。

 

それこそ、子どもが見ても「スーッ」と頭に入ってきそうですし、

大人が見ても「明日から仕事頑張ろう」って思えそうです(単純な私の場合)。

 

ちなみに友人曰く、アニメ制作の裏側の描写はかなりリアルなようです!
毎日が文化祭みたいで楽しそうだけれど、めちゃくちゃ大変そう・・・

 

受けた印象としては、「MONDAYS」の鑑賞後と少し近しいものも一部ありました。
「MONDAYS」はタイムループのコミカルマニックアドベンチャームービー(by公式)なので、全体の構成としては全然違いますが!

 

ハケンアニメ! 魅力②神格化されない、普通の人である監督

映画の中で吉岡里帆さん演じる新人監督は、

住んでいる部屋もタワーマンションではなく、ごく普通のアパート
洗濯物が干してあったり、雑然とした家
現場では関係者の皆皆様と全然上手くコミュニケーションが取れず四苦八苦

対する中村倫也さん演じる天才監督も、(ネタバレになりますので詳細は割愛しますが)
ごく普通の悩みを抱えた一人の人間

として描写されおり、そこがまた
アニメ業界、監督、制作に関わる人々を観ている自分たちにグッと引き寄せてくれます。

上記インタビューの中でも以下のように触れられております。

どこにでもいる人が実はアニメを作っていて、どこにでもいる普通の人が監督になっていく、ということを描いた

 

ハケンアニメ! 魅力③魅力あふれるそれぞれのキャラクター

一見堅物に見えるけれど、実はチャーミングだったり
冷たく見えるけれど、実は人情味あふれてたり
能天気に見えるけれど、実は生真面目だったり

出てくるキャラクターそれぞれに対して「幸せになってくれー」と願ってしまうような
一人の人間を多様な角度から表現してくださる脚本に心を掴まれました。

それぞれの想いがあって、それぞれの立場があって、ある行動、ある言動につながっているのだなあ・・・と改めて・・・

 

ハケンアニメ! まとめ

上記で述べたように、本作品を見て「人と共に何かを創ることってすごいな、良いな」と感じていたのですが、このブログを書くにあたって本作品の制作背景を知ることで、その想いが増強されました・・・!

映画の中で表現されているような、周囲にリスペクトを持ち、作品に真摯に向き合い、伝えたいことを諦めない姿勢が体現されて、まさにこの「ハケンアニメ!」は出来上がったのだろうなと。

 

その意味では、背景を知ることで作品の魅力がよりわかる!ことを改めて実感しました。
(わたくしは改めて実感することが多め)

今後も映画評を書く際には、その背景についても情報を得て、思いを馳せて、より作品を味わいたいなあと思います!

素晴らしい作品ですので是非ご覧ください!

映画『ハケンアニメ!』公式サイト

原作はこちら!

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