2023年3月31日 文部科学省は「誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策」として、「COCOLOプラン」を取りまとめましたが、不登校・いじめの増加をうけ、2023年10月17日に「不登校・いじめ 緊急対策パッケージ」を策定し、 「COCOLOプラン」の前倒しと各種情報発信の強化を進めることが決まりました。
今回は「COCOLOプラン」の定義・対策の具体的内容と、「不登校・いじめ 緊急対策パッケージ」のなかで明記された前倒しの内容についてご説明します。
・対策の進捗
を知りたい方にご一読いただけたら嬉しいです。
「誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策」『COCOLOプラン』とは?
まず、COCOLOプランとは、
Comfortable, Customized and Optimized Locations of learningの頭文字をとった名称で、読み方はそのまま「こころプラン」です。
「誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策」として、子ども家庭庁と連携しながら対策することが明記されました。
「COCOLOプラン」の内容とは?
対策方針は以下の3本立てとなっております。
1. 不登校の児童生徒全ての学びの場を確保し、学びたいと思った時に学べる環境を整えます。
「教室に戻すこと」を目標とするのではなく、児童生徒個々にあった学習環境を確保することを目指します。具体的な方針は以下の5つです。
- 学びの多様化学校(不登校特例校)の設置を促進
- 校内教育支援センターの設置を促進
- 教育支援センターの支強機能を強化
- 高等学校等の柔軟で質の高い学びを保障
- 多様な学びの場・居場所を確保
多様な学びの場に関する詳細は以下の記事ででご覧いただけます。
2. 心の小さなSOSを見逃さず、「チーム学校」で支援します。
SOSを早期発見できるよう、以下に取り組みます。
- 1人1台端末を活用した心や体調の変化の早期発見を促進
- 「チーム学校」による早期支援を促進
- 一人で悩みを抱えないよう保護者を支援
3. 学校の風土の「見える化」を通して、学校を「みんなが安心して学べる」場所にします。
上記のように子どもにあった学習環境を整えるだけではなく、学校自体もみんなが主役になって、みんなが安心して学べる場所にすることを目指します。
- 学校の風土を「見える化」
- 学校で過ごす時間の中で 最も長い「授業」を改善
- いじめ等の問題行動に対しては毅然とした対応を徹底
- 児童生徒が主体的に参加した校則等の見直しの推進
- 快適で温かみのある学校としての環境整備
- 障害や国籍言語等の違いに関わらず、色々な個性や意見を認め合う共生社会を学ぶ場に
より詳細に知りたい方は以下ご確認ください。
参照:https://www.mext.go.jp/content/20230418-mxt_jidou02-000028870-cc.pdf
「不登校・いじめ 緊急対策パッケージ」とは?
「令和4年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」の内容をうけ、「誰一人取り残されない学びの保障」に向けた取組の緊急強化を図るために、2023年10月17日文部科学省によって策定されました。
内容としては、不登校・いじめそれぞれに対して対応が明記されております。
不登校の対応としては、COCOLOプランの前倒しと不登校施策についての情報発信の強化の2つ。
いじめの対応としては、早期発見・早期支援の強化と個別自治体への取組改善に向けた指導助言及び全国的な対策の強化の2つです。
詳細は以下にまとまっております。
参照:https://www.mext.go.jp/content/20230418-mxt_jidou02-000028870-cc.pdf
「COCOLOプラン」と「不登校・いじめ 緊急対策パッケージ」
両者の関係性を以下1枚のスライドにまとめておりますので、スライドにて対応関係をご確認ください。
まとめ
文部科学省提言「誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策 – COCOLOプラン」の内容と、直近の2023年10月に取りまとめられた「不登校・いじめ 緊急対策パッケージ」との対応関係をまとめました。
どれも子どもたちが健やかに育つにあたってはとても大切な内容かと思いますので、文部科学省としてもその緊急性・重要性を認め、対策の前倒しを提唱してくださったことには一国民として嬉しく思います。
一方で、子どもたちのSOSの早期発見については、自己申告制のアプリで本当に早期発見ができるのか?(辛い子が辛いと助けを求められるのか)など、単一の対応では解決が難しい点もあると思います。その点については、様々な方法を実行し、結果を検証し、改めて検討していくことを繰り返すことしかないように思えます。
そして私自身は、このような文部科学省としての対応など、子どもたち、そして親御さんたちにとって必要な情報をしっかりキャッチアップして情報をお届けしていければと思います。