【映画評】PERFECT DAYS – 繰り返しに思える日々の中で感じること

映画評

主演の役所広司さんがカンヌ国際映画祭で最優秀男優賞を受賞したことで話題となった、
「PERFECT DAYS」を早速見てまいりましたのであらすじと感想をご共有します!

(※ネタバレありです)

 

トイレの清掃員として働く、一人の男性の”完璧な日々”について。

隣人の道を箒掃く音で目を覚まし、
布団を畳んで歯を磨く。

机上に並べられた植物たちに水をやり、
服を着替え家を出る。

空を見上げ一呼吸、
缶コーヒを買って車へ乗り込む。

お気に入りのカセットテープを選んで、
スカイツリーが見えたその時に、音楽を始め、職場へと向かう。

そんな日々の繰り返し。

 

 

PERFECT DAYSの感想

生きることのヒントをくれる映画でした。

淡々と過ぎる日々の中に

沢山のやわらかいあたたかな瞬間が詰まっていて

その瞬間を味わいながら、積み重ねていく。

 

でもそういった生き方は、

生まれ持ってとか、自然にとか、できるわけではなく、

そう生きる為にも努力をしているのだろうなと感じさせられる

主人公の人間らしさも描写されていて

そこがまたリアル。

 

映画の語りすぎない、ゆったりとしたテンポで進む時間が心地よく、

映画を観た後には、慌ただしく生きていると見過ごしてしまう

音とか光とか影とかが、少しはっきりと感じるられるような気がしました。

 

PERFECT DAYSの好きなシーン

どの瞬間も好きですが…

やっぱり、ただただ主人公の移り行く表情を数分間映すラストシーンは圧巻!

今まで観てきた映画の中で、好きなラストシーンランキングの上位に入りそうなくらい好きでした…!

 

 

 

PERFECT DAYS 臨床心理学の観点から

 

突然ですが笑、一応心理を勉強している者として、
臨床心理学の観点からも感想を記載できればと思います。

保険にも適用される「認知行動療法」にはいくつかの流派があります。

 

その中でも第三世代(最新)と呼ばれる「認知行動療法」で重視される考え方が、

「認知や思考を変えようとするのではなく、ありのままの状態や気持ちを受け入れること」。

第一世代では「行動を変える」、第二世代では「認知を変える」、第三世代では「注意の向ける先を変える」と整理することができるのですが、

ではどこに注意を向けるのかというと、「今、この瞬間」です。

 

未来や過去に対する思考や不安に埋没することなく、今目の前で起きている体験に意識を向ける。

自分にとって本当に価値あることに沿って、行動をする。

 

その意味では、PERFECT DAYSの主人公の生き方はまさにそれを体現している生き方のように感じられました。

 

 

おまけ

見るかどうか迷っている方、もしくは、鑑賞後にまたあの世界観が恋しい方

是非公式HPへ↓

PERFECT DAYS 公式サイト
映画PERFECT DAYS公式サイト。2023年12月22日(金)日本上映開始。ドイツの名匠ヴィム・ヴェンダースと日本を代表する俳優 役所広司の美しきセッション。